
いま、時代に新しい波を起こすアーティストやクリエイターの“内側”に踏み込む連載企画「NEW WAVE, NEXT CORE」
彼ら彼女らがどのような景色を見て、何に揺さぶられ、どのような感覚を軸に世界を捉えているのか――その中心へと迫っていく。
流行やムーブメントは、常にひとりの“個”から始まる。次の潮流をつくる表現者のCOREには何が宿っているのか。
その起点を探りながら、これから生まれる新しい波の輪郭を読者とともに見つめていきたい。
第2回目に登場するのは、平成カルチャーをルーツに独自の世界観を築くLilniina。
ロックバンドからキャリアをスタートし、デジコアやハイパーポップを自在に取り入れながら、
"可愛い"の感覚をアップデートし続けている。
子供部屋から生まれる音楽は、なぜ多くの人の心を掴むのか。
彼女の言葉から、その輪郭を紐解いていく。

―― まずは自己紹介をお願いします。
ラッパー、シンガーソングライターのLilniinaです。
―― 普段のファッションはどんな感じですか?
古着が好きなんですけど、楽なのも大事で。楽だけどガーリーでちゃんとして見える服が多いです。
最近は魔女っぽいコーディネートにハマってて、しましまのタイツをブーツに合わせたり、ポヨンって結んで玉ねぎヘアにしたり。
かぼちゃパンツも秋冬は好きですね。
―― 魔女って、ファッションだけじゃなくて生き方的にも?
そうなんです。「美魔女」って言葉があるように、生命力が強くて美しい。そういうイメージが好きなんです。
―― 今ハマってることは?
食べ放題に行くことです(笑)。地元名古屋って結構チェーン店が多くて、しゃぶ葉とか居酒屋の食べ放題とか。
学生が行くようなところに行くのが楽しいです。
―― この企画のテーマ“NEW WAVE”。 Lilniinaさんが「次に来る」と思っているものを教えてください。
1つ目は、魔女ファッションです。
さっきも言ったんですけど、ダークっぽいけど強い女性を感じさせるアイテムって、
最近じわじわ人気が出てる気がします。魔女っぽいコーディネートが流行ったらいいなって思ってます。
2つ目は、部屋着を外で着ることです。
もう流行ってるかもしれないけど、私は最近ジェラピ系の毛糸のパンツをタイツと合わせて外で履いたり、
ネグリジェっぽいレースのキャミワンピを外着にしたり。
部屋着を外に着るスタイルが、もっと広がる気がします。
これも平成の時に、Candy Stripperとかjouetieっていうブランドでそういうコーデしてる子がいたんで、一周回って流行りそうだなって。
Y2Kはもう終わるんで、2010年代、私たちが小さい時に見てたようなのが来るかなって思います。
3つ目は、私です。
ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。
新しい流行りに逆行してる人間なので、逆にそれが新しさとして受け入れられる部分があるのかなって。
アーティストとしても人間としても、インフルエンス的なものを持った存在でいたいっていう願望を込めて、3つ目に私としました。
―― Lilniinaさんの"CORE"を表すキーワードを教えてください。
1つ目は、ドールです。
幼い頃からブライス人形とか、リビングデッドドールズ、モンスターハイとか人形を集めるのが好きで。
自分の"可愛い"とか"美しい"の価値観も、その人形たちから影響を受けてきました。
最近「DOLLY WINK」っていう曲も作ったりしていて、自分とは切り離せない存在ですね。憧れでもあります。
―― 今も家にたくさん?
家にもいっぱいあります。
中学・高校の時は、地元名古屋にアメリカから取り寄せてくれてるお店があったんですけど、今はヤフオクとかで集めてます。
2つ目は、平成。
私自身平成生まれだし、音楽も「平成カルチャーだよね」「平成ギャルだよね」って取り上げていただくことが多くて。
自分の中での"かっこいい"とか"流行り"が平成で止まってるからこそ、自然とそうなったって感じです。
MVとかビジュアルも自分で作ることがほとんどなんですけど、それも全部、当時の感覚をそのまま届けることを意識しています。
3つ目は、子供部屋。
私は未だに実家暮らしで、ライブとかお仕事がある時以外は、基本的に子供部屋に引きこもってます。
音楽作る時も子供部屋のパソコンとマイクで完結してて、世に発信してる音楽は全て子供部屋から生み出したものなんです。
私にとっては子供部屋だけが聖域であって、安全領域。そして、仕事部屋でもあるっていう、とても大事な空間です。
―― 最後に、Lilniinaさんがこれから起こしたい"波"について教えてください。
正直言ったら、自分の波を起こしたいと思ってます。でも自分の波って、結構他者が決めるもの、他者が起こすものなので、
自分で起こすのはちょっと難しい。
だから、あえて言えば「わがままマインド」が流行ればいいなって思ってます。
女の子は少しわがままなくらいが可愛いと私は思うんですけど、
最近はそれがちょっと許されない風潮というか、みんな自己卑下しがちで自己肯定感が低い。
でも、たとえ他人にその要求が通らなくても、自分だけは自分のわがままを一旦認めてあげるみたいな。
思うだけは自由じゃん、言ってみるぐらいは自由じゃんみたいな。そういうマインドが流行ればいいなって。
―― 今後の目標はありますか?
今までは、サンリオピューロランドのイベントに出るっていうのが目標だったんですけど、
それは叶ったので、これからは海外でライブをして行きたいなと思っています。
直近では、韓国でライブをさせてもらったり、撮影もしてきました。
なので今後は韓国に限らず、いろんな海外でライブをしたいし、呼ばれるようになりたいって思ってます。
海外の人って日本のカルチャーにすごく興味を持ってくれてるし、YouTubeのコメント欄も意外と海外の人が多いんです。
とにかく目標って、言ったもん勝ちだなって思うので(笑)。今年は海外に行きます!
――海外での活躍も楽しみにしてます!ちなみに直近で新曲とか出したりする予定はありますか?
『あくまで天使~idang sweet devil~』という曲を2026年1月14日(水)にリリースします!
天使のように甘く寄り添いたい気持ちと、独占したい悪魔的な欲望が交錯する恋心を描いた1曲になっているかなと。
今回のMVはこの前韓国に行った時に撮影したもので、天使と悪魔の間を行き来する「堕天使」みたいな世界観を表現しました。
ピンクと黒を基調に、可愛さと危うさが混ざった今の自分らしさを、その空気感ごと映像にしています。
ぜひみなさんにも聴いていただけたら嬉しいです。
子供部屋というコックピットから生み出される音楽は、彼女自身が幼少期に感じた"可愛い"の感覚をそのまま形にしたもの。
流行に逆行しているようでいて、実は時代が一周回って彼女に追いついてきている――そんな不思議な感覚を覚えた。
「わがままマインド」を掲げ、自分の好きなものを貫き続けるLilniina。
その姿勢は、誰かの評価を気にしすぎる時代において、ひとつの勇気を与えてくれる。
彼女が次にどんな"波"を起こすのか。その行方を、これからも見守りたい。
衣装:myorang
当日着用したのは、韓国発のガーリーブランド「myorang」羽やクローバーなど、儚さが残るモチーフのアイテムを展開。
繊細でノスタルジックなムードの中に、今の空気感を閉じ込めたデザインが特徴。
Featured Artist: Lilniina
Brand: myorang
Photographer: Rikuto Uchiumi
Stylist: RUI [RETUN REP]
Make : 缶ナ
Hair: kio
Direction / Video / Text:minami

