
いま、時代に新しい波を起こすアーティストやクリエイターの“内側”に踏み込む連載企画「NEW WAVE / NEXT CORE」
彼ら彼女らがどのような景色を見て、何に揺さぶられ、どのような感覚を軸に世界を捉えているのか――その中心へと迫っていく。
流行やムーブメントは、常にひとりの"個"から始まる。次の潮流をつくる表現者のCOREには何が宿っているのか。
その起点を探りながら、これから生まれる新しい波の輪郭を読者とともに見つめていきたい。
第6回目に登場するのは、ヒップホップを軸にしながら、ジャンルや価値観を軽やかに横断し続けるアーティスト、lil soft tennis。
何かに過剰に寄ることなく、好きなものを自分の距離感で取り入れていく。その姿勢は、音楽だけでなく、
ファッションや言葉選びにも一貫して表れている。
彼はなぜ、そのバランスを保ち続けられるのか。 その背景にある考え方を、本人の言葉から探っていく。

―― まずは自己紹介をお願いします。
音楽やってます、lil soft tennisです。
―― 普段のファッションはどんな感じですか?
最近は、自分が一番“普通”だと思う服を着ることを大事にしてます。
あと、ファッションって自己の拡張だと思っていて。その時の気分を抽象化して伝えるものみたいな感じですかね。
なので、その時の気分を汲み取った上で選んだりすることも多いです。
だから、ポップな気分のときは、「結構、ポップやな」って感じの服着てたりすることも多いです。
―― ライブのときのスタイルは?
いろいろなテクスチャーを見せたいなって思ってるので、色々重ねたりしますね。
自分の曲も、ひとつの曲の中に、楽しい・悲しい・笑える・笑えない、いろんな感情が同時に入ってることが多くて。
それを視覚的にも分かるようにしたいって思ってます。

――lil soft tennisさんが「次に来る」と感じているものは?
レトロな感じが来てると思います。もう「何年代のリバイバル」みたいな区切りは、あんまり意味を持たなくなっていくんじゃないかなと。
1960年代とかから2000年代までも、 全部ひっくるめて“昔のもの”として、 もう少し大きなゾーンで消費されていく感覚があるというか。
そういう感じで日々周りで起こっていることに対して考えたりしてます。

――lil soft tennisさんのCOREを表す3つのキーワードを教えてください。
1つ目は、自然体。
その時その時の流れに、ちゃんと身を任せることですね。
無理にルールも決めすぎないし、「こうあるべき」よりも、今の自分が何を選びたいかをちゃんと感じ取る。
その積み重ねが、自分にとって一番自然な形になると思ってます。
音楽もファッションも、全部その延長線上にある感覚です。
2つ目は、やってみよう精神。
できるかどうかは、正直あんまり考えてなくて、先に想像して、「ちょっとおもしろそうやな」って思えたら、とりあえず手を伸ばしてみる。
成り立つかどうかとか、失敗するかどうかよりも、想像すること自体を止めたくない。
夢を見ることも含めて、トライし続ける状態そのものが、自分の原動力だと思ってます。
3つ目は、バランス。
何か一つに寄り切るのが、あんまり好きじゃなくて。
ジャンルとか、肩書きとか、「この人はこう」って固定される感じも、あんまり得意じゃない。
その時々の状況で、一番無理のない、自然な感情に従っています。
音楽をつくるときも同じで「きれいすぎたな」と思ったら少し崩して、「崩しすぎたな」と思ったら、またきれいにする。
自分なりのバランス感覚を信じること。音楽でも、生き方でも、ずっとそこを探し続けてる感じですね。

――最後に、これから起こしたい“波”について教えてください。
正直、今メインストリームになっているものに対して、 自分は少しずつ飽きてきている感覚があります。
多分、同じように感じてる人も、実は結構多いんじゃないかなって。
だから、自分は新しい波がはっきり見える前の、まだ名前もついてないタイミングに、 先回りして作品を作っていきたい。
シンプルに「面白い」「新しい」と思えるかどうかを今は一番大事にしたいと思っています。
今のみんなが、ふっと目を覚ますような、「なんか分からんけど気になる」そんな感覚を残せるものを提示できたらいいなって思ってます。

彼が大切にしているのは、その時々に感じた感覚を、自分自身のバランス感覚で選び取ることだ。
様々な要素を掛け合わせながら、きれいにしすぎたと感じたら少し崩し、 崩しすぎたと思えば、また整える。
そうした判断の積み重ねによって生まれる音や言葉は、ジャンルやルールに縛られない、 彼自身の感覚から立ち上がった複合的な表現になっている。
すべてを理解されなくてもいい。自分が面白いと思ったものを信じて積み重ねていく。
その選択のバランスこそが、誰かの感覚を静かに揺らすのだと思えた。
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当日着用したのは、センターに大胆なグラフィックを配したロングスリーブTシャツ。
グレーのボディに配された“NO BURNERS.”のメッセージとアイコニックなサインは、一見シンプルながら強い存在感を放ち
レイヤードしても埋もれない設計で、スタイリングの主役になり得る一枚。
“NO BURNERS”という言葉は、バーナーがなくとも内側に宿る熱を示すかのようで、lil soft tennisの静かに燃える闘志ともどこか重なる。
ミニマルでありながら視線を奪うグラフィックワーク。
日常にもライブシーンにもフィットする汎用性とメッセージ性を兼ね備えている点は、AWESOMEBOYらしいバランス感覚を象徴している。
AWESOMEBOY "NO BURNERS" ロングスリーブT (HE,GRAY) ¥11,000

ブランド:AWESOMEBOY
日本発のセレクトショップブランドAWESOMEBOY。
90年代から2000年代初頭のラップTEEを中心に、独自の視点で選び抜いたヴィンテージアイテムを展開する。
アイコニックな“A”のレタリングを配したオリジナルラインも人気を博し、ヴィンテージと現代的な感性を掛け合わせたスタイルを提案。
ラップTEEやリメイクアイテムを代表格に、時代性と個性を宿すピースを生み出し続けている。

Featured Artist: lil soft tennis
Brand: AWESOMEBOY
Photographer: Rikuto Uchiumi
Video/Video edit : yuma goto / NANA
Stylist: Taiga Nakajima
Make : BERI
Hair:Sota Kobayashi
Direction / Text:minami

